【戸別訪問】多職種連携をコーディネートする

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私が訪問しているご利用者さんの中には、通所利用をしている方が多くいらっしゃいます。

家庭での食事と通所での食事、食事形態もさることながら、食事介助方法や食事摂取量も異なることが多く、それらの最適化をするため「コーディネーター」としてアドバイスに入ることがしばしばあります。まさに、だんらんコーディネーターの目指している仕事そのものです。

今日はこのコーディネートについてのお話です

食事環境の最適化?

Aさんは、ミキサー食。学校や通所など、関わる場所は多いですが、楽しく食事ができています。ご家庭の食事はきめ細やかにできており、お母さんの丁寧な調理の様子が伺えます。

一口にミキサー食といっても、固さや粒感は調理をする場所により様々です。特に粒感はとても大事でわずかなざらつきも難しい場合があるため、そこの統一化は必要です

このブログでも再々書いているのですが、「食事形態の統一化」というものは目指すべきものではありますが、不可能に近いことであるとも感じています。調理する人も違えば、台所も違う、調理道具も違えば、調理に割ける時間も異なるからです。ですから、提供できる食事形態、実際にできる食事介助方法、現実的な環境面などを配慮して、「自宅ならこう」「施設ならこう」「学校ならこう」といった部分を話し合うことが必要です。

関わる人たちが現在の食事能力を共有しており、今後の発達や状態変化に対する見通しを共有することができれば、食事の支援方法が多少異なっていても、本人の状態に合わせた支援にたどりつけると考えているからです。

さて、そんなAさんの食事環境。家庭は非常に細やかな食事ですが、通所や学校ではなかなかそうもいかない、という場合がありました。特に食べさせられる量が違うのです。

母親のテクニック

母親が食べさせるとスムーズにテンポよく食べさせられるのに
他人が食べさせると、途端に口の動きが緩やかになる

こんなことって、結構多いんですね。
やはり母親って偉大だなぁなんて思います。母親の食事介助なら、目指している食事量が摂れるのに、スタッフだと半分になってしまったり、倍の時間かかってしまうなど、様々です。

私がコーディネートに介入する場合、施設や学校の場合は、「誰でも安全に」を優先します。と、いうのも施設も学校も食事介助者を固定しにくい場合が多いいからです。ですから誰でもできる介助を目指します。

誰でもできる介助って?

まずは1日で必要な栄養量を考えます。そして、その施設・学校で摂取すべき最低量を把握します。
そこから、提供される食事形態と食事量。そして実際に食べさせられる量を評価します。目標量が食べさせられない場合は、栄養の補助手段を検討しなければいけません。

誰でも安全に食べさせるためには、慎重になりすぎて食事量が取れない場合も多いのでその点への注意が必要です。誰でもできる介助というのはいくつものパターンがあるので非常に難しいのです。

他人の限界を伝える

Aさんも同様で、家庭では1食を上手に食べることができるのですが、通所ではなかなかとることができませんでした。そのためスタッフさんから「どこまで食べさせたらいいですか」と質問をされたのです。

1日の食事量を大体でも把握し、身体発達上足りているのかを見る必要があります。その上で、スタッフが現実的に食べさせられる量を考え、足りなければそれは正直にお母さんにお伝えする、ここが大切です。

食べさせたい
食べて欲しい
食べたい

これらの思いを尊重することも必要ですが、それに伴う誤嚥のリスクは、施設職員が背負いこむのも防がなければなりません。

現実的に施設が、誤嚥のリスクを最低限に抑え食べさせられる量を明確にする。

職種間連携をコーディネートする

この、施設の限界を家族へ説明すいるってとっても大切なことです。ご家族の中には、なんとか通所で栄養を摂って帰ってきて欲しいとおっしゃる方もいます。そういう方とはなるべく直接ディスカッションをするようにしています。

本人の栄養を守り
ご家族の希望の最大限守り
関わるスタッフの立場も守る

このバランスは本当に難しいのです。
幸いAさんのお母さんは安全を最優先にする方なので、通所での食事量にはこだわっていらっしゃいませんでした。自宅で捕食などをして様子を見る、とおっしゃいます。

ですからスタッフとしては無理をさせない。ただし、日々の摂食量を把握する。捕食が適切に摂れているかを把握する。

スタッフさん、学校の先生、お母さん、そして本人
このみんなの気持ちをまとめて食事環境を調整する。これがだんらんコーディネーターとしての戸別訪問だったりします。

「職種間連携」なんて言いますが、実際できない現実。
私のように、流動的に動ける人間がいることで、色々な場面の食支援が調整できれば、だんらんコーディネーターとしての意味があるのだと感じるのです。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。

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