【びぃどろ講座】医療的ケア児って何?

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最近、ニュースや新聞などでも取り上げられるようになったこの言葉。「医療的ケア児」通称「医ケア児」。今日はこのお話。

医療的ケア児とは?

これは文字通り、「医療的ケアを必要とする小児」のことを言います。
新生児医療、小児医療が発展したことで、赤ちゃんの死亡率は新生児で1000人に0.9人、乳児で1.9人と、世界でももっとも低い水準となっています。しかし、その結果、助けられた赤ちゃんの中には人工呼吸管理や気管切開、経管栄養などを必要とする子供が増加しました。こう言った医療的なケアを抱えたまま退院し、家庭で家族のケアのもと過ごす子供が、現在急速に増えています。

このような医療行為を、生きるために家庭で家族が継続的に行う必要があり、その行為を「医療的ケア」とよび、それを必要とする子供を「医療的ケア児」とよぶようになりました。

医ケア児の人数

医療的ケア児は、2016年(平成28)には全国で1万8000人いるとされ、この10年で約2倍になっています。また、現在も増え続けている現状があります。

これだけの増加に合わせて、教育的な支援が受けられるような制度や環境の調整が求められるようになり、看護師が在籍している特別支援学校では教員が、経管栄養の注入、吸引、導尿の補助などの医療ケアを担えるような制度もできてきています。しかしながら、全国どこでも同じような支援が受けられるわけではなく、地域差が目立つ部分でもあります。

通所施設はどんなもの?

このように、環境的配慮が必要なお子さんの場合、一般的な幼稚園等へ通うことも難しいことが多い実態があります。そのため、こう言ったお子さんが通える施設ということで、平成24年に児童福祉法が改正され、新たな制度が設けられました。

これまであった、一般的な「療育」の施設のなかに、重症心身障害児を主たる対象とした施設が位置付けられました。

しかし現実には、施設を開設するための人員を確保することが難しかったり、利用児の定員も少ないため、経営的に長期運営をしていくのが難しい事業とも言えるため、そう言った施設がない自治体もまだまだ多いのです。利用するお子さんの体調から、欠席等も多く、経営が安定しないことから、参入する事業者は非常に少ない状態です。こう言った点が、制度的な支援で補ってもらえることを願って止みません。

医療的ケア児のママ

さらに、医療的なケアというものは休みがありません。吸引などは「あとで…」が許されない処置ですから、ケアをするママたちは24時間体制で毎日お子さんのお世話をされるのです。

そうなるとお母さんたちは復職はおろか、外出ですらままなりません。日常生活も自分のための時間を作るなんてことはできなくなります。

私の友人の話

私には遠方に暮らす友人がいます。割と頻繁に連絡をとっていて、LINEも送ればすぐ既読、すぐ返信の彼女だったのですが、ある日を境にLINEが途絶えるようになりました。

そう、生まれた赤ちゃんが医療的ケア児だったのです。

彼女との物語についてはこちら→(Youtubeのリンクに飛びます)

それを知ってからというもの、すぐに会いに行きたくても行けない。行ったところでケアをサポートしてあげることもできない。というなんとも言えないもどかしさにかられたのです。

その頃私は訪問看護ステーションに勤務していましたが、当然、そんな遠方までいける制度はありません。当たり前w交通費どうするんだww

そんな想いから、彼女のもとへ行こうと訪問看護を退職し、独立。フリーランスとなりました。

幸い、彼女は強い女性であり、医療的ケアも乗り切り、なんと専門職として復職もできました。素晴らしいなと、感心しています。

資源の活用

もちろん、彼女のようにスムーズに復職までできる方は少ないと思います。けれど、世の中にどんなサポート体制があるのか、という情報をお伝えすることはできる。これが私のできるサポートだとも思っています。

辛ければ、一時預かりの方法を考えよう。1日の生活を見直して、ケアをタイトにできないか考えよう。便利な福祉用具を使おう。知らない制度を伝えよう。

こう言った情報の提供って、案外誰もしてくれないんですね。

私は、自分の仕事は「情報の引き出し」と考えています。
そういう情報を今後もここに書きながら、届けていこうと思います。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。

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