【びぃどろ講座】秋だ、秋だ、味覚の秋だ♪

『たべる』について, だんらん作りの知恵袋

嚥下障害があると、食べられるものの種類も大きく制限を受けてしまいます。でもこの食べ物ならお口の反応が良い!味覚刺激を入れたい!味があればモグモグ練習になるのに!などと思えることって、しばしばありますね。今日はそんなときの一工夫について。

むせるから食べられない!

嚥下障害のタイプによって食べられるもの、食べられないものは大きく変わりますが、一番難しくなる方が多いのが「水分」ですね。水分はむせてしまうので、とろみをつけましょう、と指導をされることが多くなると思います。

飲み物や汁物は、まぁそれでもとろみ剤を使用することができるので対応できますが、難しいものの一つに果物が挙げられます。なぜなら、口に入るときは固形なのに、噛むと水分が出てきてしまい、むせてしまうんですね。

また、お菓子も食べられるものって限定されてしまいます。せんべいも、柔らかくなるまで舐めていても良いんですが、舐めている最中に誤嚥したら?と思うと、なかなかできません。

味だけでも経験できない?

そうなると、嚥下障害が重度で、なかなか食べられるものがない方、またお口の発達訓練中の方などを含めて「せめて味だけでも経験させたい」と思う方も多いはずです。

けれど例えば果物。味だけでも経験させてあげようと口に入れたら、汁が出てきてむせますね?

例えばせんべい。モグモグを引き出したくても、咀嚼中にカケラが喉に入り込んだら誤嚥しますね。

味覚練習の便利グッズ

今日は、そんな方でも誤嚥しにくい、さらに味覚を経験するための便利グッズのご紹介です♪

便利グッズはこちら

お茶パックとデンタルフロス♪

よく、病院の訓練とかではガーゼに果物やお菓子のグミなどを包んで噛ませる練習をするんですが、自宅でそれを用意するのって結構大変です。お金もかかります。
これでしたら、どちらも100円ショップでも購入することができますし、非常に使いやすいのです。

便利グッズの作り方

まずは作り方をご紹介します。

①お茶パックにグミや味覚刺激として使いたいものを入れます。

②デンタルフロスで縛ります

③デンタルフロスの反対側をループ状にして結びます

④お茶パックの不要な部分を切り取ります

これで完成♪

便利グッズの使い方

使い方は簡単

①デンタルフロスのループを指にかけます。

②対象者の口の中にお茶パック部分を入れます。モグモグをするうちに味を感じることができます。

こうすれば、万が一ノドの奥に入りそうになっても防げますし、本人は味を感じることができますし、咀嚼の練習になります。心置きなく使い捨て出来るのもメリットです。

味覚を刺激することの大切さ

嚥下障害などで、食べられるものに制限があると、どうしても味覚を刺激される機会が減少します。食べられるものの種類が限定されると、食への意欲がわかなくなります。
お子さんの場合でしたら、味覚刺激を入れることで味覚の発達もですし、食への関心を高める効果もあります。
何れにしても味覚は人間の基本的な五感の一つである以上、刺激を入れるということは、大変重要です。

また味覚だけではなく、咀嚼の練習にも用いることができます。咀嚼練習中にカケラで誤嚥させないためにも、包んだ状態で練習することで、安全で安心して練習を行うことができます。

注意点

この方法を実施する場合にはいくつかの注意点があります

例えば甘すぎたりすると唾液が誘発されて、重度の嚥下障害の方は、唾液でむせます。噛むことで汁気が多く出るような果物も、汁でむせる場合があります。

あとはフロスが解けた場合は誤嚥のリスクが高まります。

噛み込みの強い方も、噛みちぎる可能性があるため注意が必要です。

上記のような注意点がいくつかありますので、実施する際には充分注意して、自己責任の範囲でやっていただくこととはなります。

けれど、これから味覚の秋ですね。美味しいもの、たくさん味わっていただけるって、食べる方にも食べさせる方にも幸せなことだと思います。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。

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