この2週間ほどで、複数名からHSCについて相談されたので、今日はHSCについてお話を。

HSC・HSPとは?

HSCとは Highly Sensitive Child の略で、日本では「ひといちばい敏感な子」と訳されます。HSPは Highly Sensitive Person の略で、大人を指します。これらは、エレイン・アーロン博士が1990年代に提唱した概念で、2002年にThe Highly Sensitive Childというタイトルで、英語版が出版されました。その後、明橋大二先生の訳で日本語版がでたのは2015年になってからです。

特徴

感受性が高く、繊細・敏感な気質を持っていることが挙げられます。

チェックリスト

  1. すぐにびっくりする。
  2. 洋服のタグや布地がチクチクする、靴下の縫い目を気にする
  3. サプライズ、驚かされるのが苦手。
  4. しつけは、強い罰でなく、優しい注意のほうが効果があると感じる
  5. 親や先生など大人の心を読む
  6. 年齢の割に難しい言葉を使う
  7. いつもと違う匂いによく気づく
  8. ユーモアのセンスがある。
  9. 直感力にすぐれていると思う。
  10. 興奮するとなかなか寝付くことができない
  11. 大きな変化にうまく対応できないほうだ
  12. よく質問をする
  13. 服が濡れたり、砂がついたりするといやがりすぐに着替えたい
  14. 完璧主義なところがある
  15. 他の誰かがつらい思いをしているとすぐに気づく
  16. 静かに遊ぶことを好む
  17. 考えさせらえる深い質問をする
  18. 痛みや空腹に敏感である
  19. うるさい場所、大声を出す人などを嫌がる
  20. 細かいこと(モノの場所や人の外見がかわる)によく気づいている
  21. 石橋をたたいて渡るような慎重なところがある
  22. 人前で発表するときには、知っている人だけのほうがうまくいく
  23. 物事を深く考えていると思う

13個以上でHSCの可能性が高いと言えますが、たとえ「はい」が1つか2つでもその度合いが極端に高ければ、HSCの可能性があると言えます。

HSCは病気ではない

この特性は全人口の15~20%に見られます。5人に1人ですから、30人クラスの6人はこれに該当するのです。 HSC・HSP は病気ではなく、あくまで性格・特性なのです。 生物学者たちによると、この特性が100以上の種に存在するという研究もあります。それは、ハエから鳥・魚・犬・猫・馬そして霊長類にまで及んでいます。これはこの特性が、行動を起こす前に注意深くなるという、生物としての生き残り戦略であることを示しています。実際、HSC・HSPの脳は、そうでない人たちの脳とはすこし異なる働き方をするそうです。 HSC・HSPの脳は、人一倍深く情報を処理し、それについてより深く考える傾向があるのでしょうね。HSC・HSP はこういう注意深さなどから、しばしば”内気”だと言われることもがありますが、実際30%は外向的との調査結果も出ています。他にも、引っ込み思案、怖がり、神経質などと呼ばれることもありますが、あくまで個人差であり、そう振る舞ってしまうのは、生まれつきのせいではなく、また基本的な特性でもないのです。

原因は?

これは親のせいでも、育て方のせいでもありません。それはどの本にも書いてありますし、相談される親御さんのほとんどがその点は理解しています。

けれど、わたしが受けた相談んのほとんどが「原因が分かるものじゃないから、治すこともできなくてつらい」という気持ちを伺いました。そうなんです、どんなことでも原因がわかれば、対処法を探せるのに・・・

そう思うことが当たり前ですよね。

対処方法は?

この特性はすぐに対処できるものではありません。育児全般に言えることですが、ここでは親が子どもに教えられることが何なのかについて考えてみましょう。

相談で最終的に私が必ず言うことは

「自力で対処できる子に育てる」

ここに尽きるのです。

①自身の特性を知る
②特性への対応を考える
③実践する
④うまくいったか検証する
⑤うまくいかなかったら修正する
これを繰り返していきます。

そして上記の①は、保護者やお子さん自身が一番正確に把握されています。そして②を考えるのですが、ここで専門家と一緒に考えることをお勧めします。そして③の実践し、④で検証します。この④や⑤でも、専門家の意見を聞くことができると、より安心できます。

この一連の流れを、初めは親御さんが主導で行います。そして、お子さんへ「この対応どうだった?」と対話していきます。そうするうちにお子さん自身が、「自分はどんな時にどんな気持ちになって、どんな対応をすれば・してもらえれば、安定して過ごせるのか」を学習するようになります。

親が対応していたことを、子ども自身で対応できるようになる

これが「自立」です。

自立する

親の仕事は、子どもの自立を促すこと。
障害などにより、金銭的・身体的に自立できなくても、そのお子さんにとって最大限の自立を目指せればいいので、精神面などの自立を促すことは必要です。

この「自立」を目指す過程の中で、小児科医や心理士、発達専門のセラピストなどと出会い、アドバイスを受けながら支援方法を探すものなのです。

お子さんの自立は、親の自立でもあります。お互いがお互いに寄り添いすぎず過ごしていけることが重要です。

かくいう私もHSPですが、なんとか育児を頑張っている毎日だったりします。聴覚過敏にはイヤホンや耳栓で対応したり、視覚過敏には眼鏡、ザラザラしたり濡れたりするのが嫌なので、この触覚過敏についてはハンカチやウェットティッシュを持ち歩いたりして対応しています。敏感過ぎるメンタルも、対処法があるので実践したりと、他にも色々やっていますが、こうして対処法を会得しているので、いまでは穏やかに生活できています。

私も全く自信はないですが、「子どもの自立」と「子どもからの自立」を目指して日々奮闘中です。

悩んでいるお母さん

きっと側に同じように悩んでいる人、いるんですよ

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。

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