【びぃどろ講座】食べるを学ぼう①認知期

『たべる』について, だんらん作りの知恵袋, 未分類

「たべること」を私たち言語聴覚士の言葉で表現すると「摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)」と言います。この摂食・嚥下には5段階(※)の時期があると言われます。今日はその1つ目「認知期」についてのお話です。

※4段階に区分することもありますが、今回は説明しやすく5段階で説明します

摂食・嚥下って何よ?

私は「たべること」の専門家である『言語聴覚士』の資格を持っています。ですから、食事に関しての研修会とか講演会とかに、講師として呼んでいただくこともあります。

とはいえ、いつも思うんです。

なんでみんな毎日ご飯食べてるのに、食べることを知らないんだろう?と。

みんなほとんどが1日3食はご飯を食べますね?なんなら、おやつ食べて5食くらいとかもありますね?お茶とかに至っては何度も何度も飲みますよね?でも、どうやって飲んでるかって案外知らないものですよね。

そんなわけで簡単に伝えられる動画を作ろう♪と言うことで、摂食・嚥下動画を作ってみました。

一応、摂食嚥下は5期に分かれているので、この動画もいくつかに分けて作ろうと思います。

認知期ってなに?

食事を口に運ぶ前から、「摂食・嚥下」は始まっています。
食べ物を見たときに、過去の経験と照らし合わせて
「あ、カレーだ」
「美味しそう」
「熱そう」
「辛いかな」
「お水がいるな」
「スプーンで食べよう」
「前に行ったカレー専門店、また行きたいなぁ」
そんなことを考えることで、頭の中で食べる準備が始まります。

そうすることで、何が起きるでしょうか?

身体も食べる準備が始まるんですね。
唾液が出てきたり、胃が動き出したり。
梅干し見たら、唾液が出ますね?
美味しいご飯を見たら、お腹がぐぅ〜って鳴りますね?
それは全部、食べる準備として体が反応しているからなんですね。

こうして脳で食事を認識して、身体が反応し、食事の準備を始める。
これが認知期です。

認知期に問題があるとどうなるの?

認知期にトラブルがあると、食事を認識することができないわけですから、食べ始めることができませんね。例えば認知症。これも認知期に障害が出ることがあります。

どう支援したらいい?

認知期に問題のある方の場合、五感を刺激した支援が必要です。今からご飯が始まるよ〜と言う合図を脳に送ってあげましょう。

例えば
【視覚】
食べ物がしっかりと見えるようにしましょう
彩りや盛り付けに配慮しましょう

【聴覚】
料理の音、声かけをして、食事が始まるイメージに繋げましょう

【嗅覚】
食事の香りを楽しみましょう。調理の段階から香りを感じられるようにしましょう。

【触覚】
手で食べられるものも用意しましょう。食具を使いやすいものにしましょう。食事介助を要す方の場合、スプーンが唇に接するように食べさせましょう。

【味覚】
言わずもがな、味覚。美味しく味わいましょう♪

こんな五感を刺激した働きかけを、この時期にはたっぷりと行いましょう♪
楽しいお食事が始められますよ♪

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。

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