【びぃどろ講座】お口のマッサージ(バンゲード法)

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先日定期的に訪問している施設で、バンゲード法についてミニレクチャーの時間をいただきました。

バンゲード法とは口唇や頬,舌などの可動域を改善する目的でおこなう手技です。主に、自力で口の様々な筋肉を動かすことができない、または動きの弱い小児疾患や重症心身障害児者の方に行います。 今回は、訪問施設のご利用者さんに、「ちょっと口の動きが良くなってきたから、もう少し頑張ってほしい。」「給食前に少しお口を刺激してあげたい」という気づきが得られたため、レクチャーをすることにしました。

具体的方法は以下の各訓練を、食直前に 1 日 2~3 回,それぞれ 5~10 分を超えない程度に行うこととされています。更に、これらの各訓練は顎と口唇を閉鎖した状態で行うようにします。

口唇訓練(口輪筋への刺激)

口唇閉鎖が弱い、あるいは口唇が動かないお子さんへ行う訓練法です。

①水平方向に縮める(厚くつまむ)

上下口唇をつまんで水平方向 に縮めて離す(口輪筋を柔らかくして緊張をほぐすように)。各口唇 を 2~3等分にして硬くなっている口唇を大きく厚めにつまむ。

②膨らます

人差し指を唇の内側に入れて外側から親指で軽くはさむようにして膨らませます。中にあめ玉がはいっているように膨らませるのがポインです。口唇の内側に指を入れるので、正中部分にある上下唇小帯は避けて 4 箇所をおこないます。

③垂直方向に縮める(押し上げ・押し下げ)

人差し指を上口唇の赤い部分に置き、鼻の方へ向かって押し上げます。下唇も同様でオトガイ部(アゴの先)に向かって押し下げます。この方法も 2~3 等分に分けて行います。

④のばす

人差し指を上唇の上に横向きに置いて、前歯に対して圧を加えるような気持ちでゆっくり上唇を押し下げます。同様に下唇も下の前歯に圧を加えながらゆっくり押し上げるようにのばします。

⑤オトガイ部のタッピング

人差し指の先でオトガイ部(アゴ)領域を軽くたたきながらマッサージします(tap and massage)。オトガイ部の筋肉の動きにより、唇が活発に動き出すのが確認できます。

頬訓練

①マッサージ

頬を押して筋肉が堅くなっているか、緩んでいるか注意して、人差し指と親指でゆっくりともみほぐします。

②膨らませる

歯を閉じた状態で、人差し指を口角の内部に入れて、頬を外側に引っ張ります。口角を引っ張るのではななく、頬の広い部分をつかんで外に向かって引っ張るように行います。

舌訓練

①口外法

オトガイ部尖端下部のすぐ後ろの部分を上方に押し上げます。首の角度が上向きになると前頸筋が緊張するので、姿勢(軽く顎を引いた状態)を安定させることがポイントです。

②口内法

舌圧子やスプーンを使って、舌の先を口腔底部に向かって押す方法と、舌の側面を反対側に向かって圧迫する方法の2つがあります。いずれも開口をキープできる方が対象となります。

まとめ

お口の中へ刺激をいれることにより、食事が少しでも円滑にでき、お口の発達を促せることができれば嬉しいですね。
どんな支援にも言えることですが、まずは小さなことでもコツコツと。毎日続けてみましょう♪

後日談

実はこのバンゲード法のミニレクチャー。指導した施設のご利用者さんに、対象となるお子さんがいらしたため急遽開催したのですが、当日は爆睡(;^ω^)全く覚醒せず、ゆったりと過ごしていました。

そこで後日、再度この対象児さんが通所されているところへお邪魔してリベンジ♪ちょうど覚醒していて、とってもご機嫌♪

これはチャンスと言わんばかりに、スタッフさんに見ていただきながら直接的な指導ができました。

ただし、このお子さんは歯磨きなど口を触られるのがあまりお好きではなかったようで、なんども噛みに来る‼Σ(゚Д゚)私の指が唇に触れると、カチカチと歯を鳴らして忍び寄る…(;^ω^)
実は仕事柄、何度も指を噛まれた経験があり、噛まれないコツを会得しているので大丈夫なんですが、まだ慣れていないスタッフさんの場合リスクがあるため、安全にできるよう、コツなどもお話ししています。

すこしでもスタッフさんの支援のお役に立てれば嬉しいですね

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。

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